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「ひとり情シス」が抱える課題とは?増加する背景や対策を解説

近年ではITの発展に伴い、「ひとり情シス」による負担が問題視されています。

ひとり情シスは増加傾向にあり、さまざまなリスクや課題が存在します。

今回はひとり情シスが増えている背景や、問題点・解決策について解説します。

 

増加傾向にある「ひとり情シス」とは

ひとり情シスとは、社内システム部門の担当者が1人もしくは数名しかいない状況を言います。

特に零細・中小企業に多く、中には数百人規模の社員がいる中、システム担当が1人しかいないことも珍しくありません。

では、なぜひとり情シスが増加傾向にあるのでしょうか。

背景や問題点について詳しく見ていきましょう。

 

ひとり情シスが増えた背景

情シス業務の忙しさで散らかる机

どれだけ優秀な社員でも、ひとりで社内全てのPCやシステムの管理を行うのは限界があります。

しかし、そんな状況にも関わらずデル株式会社(Dell EMC)が行った調査データによると、中堅企業の38%がひとり情シス状態であるとわかりました。

ここまでひとり情シスが増えた背景には、主に離職率の高さが挙げられます。

デル株式会社(Dell EMC)が毎年実施している「IT投資動向調査」によると、情シス担当者の離職率は21%と高い数値です。

これは業務過多で辞める人が多いことや、なかなか人員増強がなされないことが原因だと考えられます。

専門的な知識を持っている人間は社内でも限られていますから、周りがどんどん辞めてしまえば、最終的にひとり情シスになるしかありません。

また、「情シス部門が会社にどこまで貢献してくれているのか」「現場ではどんな課題を抱えているか」が経営陣に伝わっておらず、適切な予算や役割が与えられないこともあります。

十分な予算がなければ、IT業務に携わる人材を増やすことは叶いませんし、人員もどんどん削られてしまいます。

そうして最終的に情シス担当が一人になってしまう、というケースも考えられます。

参照元URL

https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1170512.html

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000025237.html

ひとり情シスに潜む問題点とは

情シスの問題点で悩む猫

社内のシステムをひとりで管理する場合、手が回らずにさまざまな問題が発生します。

担当者への負担は、やがて会社全体の問題へと発展するかもしれません。

ここでは、ひとり情シス状態を放置した場合に起こりうるリスクについて見ていきましょう。

 

作業の属人化

ひとり情シスである場合、トラブルが起こった際に対応できる人が限られます。

そうなることによって、作業効率が大幅に低下し、品質が維持できなくなります。

また、システム担当が退職してしまった場合は、対処のしようがなくなります。

ひとり情シスによって作業が属人化してしまうことは、会社全体のリスクにも繋がるのです。

 

業務過多

システムの管理担当に専門知識を持った社員ではなく、パソコンに少し詳しい社員を抜擢する企業は多くあります。

そして、選ばれた当人は自分の業務と情シス業務の兼任によって、パンク状態になることも考えられます。

人手不足の状態では手伝ってもらうこともできず、業務過多になりやすいと言えます。

 

情報漏えいリスク

ネットワークのセキュリティ面も忘れてはならない大きな課題です。

毎日の業務に追われ、セキュリティ対策に手が回っていないケースも考えられます。

その結果、情報漏洩が発生した場合、取り返しがつかなくなるリスクが潜んでいます。

サイバー攻撃から情報を守るためにも、定期的にセキュリティ環境をチェックすることが大切です。

 

障害対応が後回しになる

ひとり情シスのもとでは、日々の問い合わせ対応や端末の設定作業に時間を取られ、障害対応の「準備」が後回しになりがちです。

障害は、起きてから動いても間に合いません。日頃からログや監視の状態を確認し、異常の兆候を拾い、復旧の手順を決めておく必要があります。しかし、そのための時間を確保できないまま運用が続いてしまいます。

さらに障害の切り分けには、ネットワーク・サーバー・端末・業務アプリと複数の領域の知識が求められます。1人で全領域をカバーするのは現実的ではありません。

結果として、障害が起きたときの初動が遅れ、業務が止まる時間が長引きます。復旧の判断を外部ベンダーに委ねるしかなく、その連絡や調整にも時間を取られます。障害対応の遅れは、そのまま売上と信用の損失につながります。

日々の問い合わせに追われる状態そのものが負荷を生んでいる点は、情シスが陥りがちな「社内ヘルプデスク状態」と、その対処法でも詳しく解説しています。

ベンダー管理・折衝が属人化する

中小企業のIT運用は、自社だけで完結しません。回線やクラウド、業務システム、ハードウェアの保守など、必ず外部ベンダーが関わります。

ひとり情シスの場合、その窓口が1人に集約されます。契約内容、問い合わせの経路、過去のトラブル対応の経緯——こうした情報が本人の頭の中だけに残り、社内の誰も把握していない状態になります。

担当者が不在の日に障害が起きれば、状況を説明できる人がいません。見積もりの妥当性を判断できる人もいません。更新時期を管理している人もいないため、気づかないうちに契約が自動更新され、不要な費用が続くこともあります。

ベンダー管理は「地味だが止めると痛い」業務です。だからこそ、属人化したまま放置せず、記録と引き継ぎの仕組みを用意しておく必要があります。担当者に何かあった時点で運用が止まる構造は、中小企業によくある「IT担当者が不在」問題で解説しているリスクとそのまま重なります。

退職リスク

ひとり情シスの中にはコア業務と兼務している社員も少なくありません。

日々のシステム管理・運用・サポートをしながら自分の業務もしなければならない状況だと、オーバーワークになってしまいます。

そして、最悪の場合は大切な人材に退職を決意させてしまうかもしれません。

もし、ひとり情シスが退職してしまう場合、社内のさまざまな業務に影響が出てしまいます。

後任の担当者を見つけるにしても、必要な専門知識を持つ人材を探すのは一苦労ですし、前述のように業務の進め方が属人化してしまっていると、引き継ぎ作業だけでも大変です。

最悪の場合、これまで通りの業務遂行ができなくなることもあるでしょう。

 

より悪いケースでは、「ゼロ情シス」と言われる情シス担当者が不在となる場合もあります。

他部門の社員の負荷が増大したり、セキュリティリスクが大きくなったりと、さまざまな問題に繋がる可能性がありますので、そうなる前に対策することが重要になります。

 

ひとり情シスの問題点、対策方法とは?

解決策をひらめく電球

業務過多や情報漏洩、時には社員を退職にまで追い込んでしまう環境は、リスクが発生する前に改善すべき課題と言えます。

このような状況を解決するためには、個々の社員と向き合い、労働環境について大幅な改善を検討する必要があります。

しかし、実際は日常の業務量や予算によって、なかなか取り組めないのが現実です。

そのため、ここではひとり情シスの問題点やすぐにできる対策方法について紹介していきます。

 

情報収集・情報交換の環境づくり

社内システムの運用方法は、企業によってそれぞれ独自のルールが存在するため、どうしてもひとりで考えてしまいがちです。

しかし、例えシステムや環境が違う場合でも、社外の人と情報交換をすることで、思わぬ改善点が見つかることがあります。

特に、ひとり情シスのセミナーや相談会に参加することで、自社の状況を客観的に見ることができるようになります。

社外からの情報を得ることでノウハウの共有になりますので、まずはひとりで悩まず、近い境遇の人がどう対処しているのかを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

 

情シスの業務効率を高める

業務過多に陥ると、心身ともに疲弊してしまい退職を選んでしまうというケースも少なくありません。

この状況を改善するためには、ひとり情シスの状態で頑張るのではなく、企業全体を巻き込み、業務の効率を高める対策を行う必要があります。

 

例えば、社内ヘルプデスク業務の負荷を抑えるためには、従業員のITリテラシーを向上させる方法が有効です。

従業員がITに対して理解を深めれば、問合せの数も減少しますし、セキュリティなどのトラブルを未然に防ぐことにつながります。

また、デバイス管理やアカウント管理などの業務は、ツールを活用して効率を高めることも有効です。

この他にも、問い合わせの管理ツールや、FAQの共有に役立つツールなど、情シスを支えるさまざまなツールが提供されています。

 

ただし、予算の関係によって必要な人員補強や対策の実施がなかなか行えない場合があります。

このような状況に備え、現状の対応量と対応内容を可視化することをおすすめします。

 

情シス部門にはさまざまな依頼が舞い込みますが、実際に携わった人でなければ負荷の程度は分かりません。

寄せられる依頼の量や内容、解決のためにかけた時間的コストを見える化すれば、誰が見ても明らかなデータとなります。

また、内容についてデータをまとめれば、社員のITリテラシーで不足している部分も明らかになります。

 

これらのデータがあれば、負荷に合わせた人員の増強や、IT教育の見直しの提案を上層部にしやすくなります。

企業側にとっても、ひとり情シスが退職などで居なくなった場合に、数多くの業務が宙に浮いてしまうことが伝わるため、対策に乗り出す可能性を高められるでしょう。

 

社内に残す業務・任せる業務を線引きする

対策を考えるうえで、最初にやるべきは「すべてを自分で抱えようとしない」と決めることです。

情シス業務を洗い出すと、大きく3つに分かれます。1つ目は、経営判断や予算配分、社内調整など、社内の人が担うべき業務です。2つ目は、IT戦略の相談やベンダー折衝など、社内と外部が一緒に進める業務です。3つ目は、ヘルプデスク、端末設定、アカウント管理、監視、バックアップ確認など、手順が決まれば外部に任せられる業務です。

実際に手を動かすと、3つ目の「任せられる業務」が思っている以上に多くを占めます。ここを切り出せるかどうかが、ひとり情シスの負荷を下げられるかの分かれ目になります。

まずは1週間、自分が何に何時間使ったかを記録してみてください。その記録が、社内に残す業務と外部に任せる業務を線引きするための、最も説得力のある材料になります。任せられる業務の具体例は情シスはアウトソーシングで効率化できる!方法やメリット解説で整理しています。

情シス業務のアウトソーシング

物理的な業務過多が原因の場合は、情シス業務をアウトソースするのも有効な対策法です。

アウトソース先には、他社の課題を解決してきたからこそわかることがあります。

そのため、専門家に相談することで、貴社の課題や改善点がより明確になります。

情シス業務の環境改善でお悩みの際は、コンサルタントから意見を聞いてみることも視野に入れましょう。

 

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ひとり情シスを解消する3つの選択肢

ひとり情シスの状態を解消する方法は、大きく3つあります。それぞれ得意なことと限界が異なるため、自社の状況に合わせて選ぶ、あるいは組み合わせることが重要です。

選択肢 向いている状況 始めるまでの期間 主な課題
採用・増員 IT戦略を社内で担う人材を育てたい 3〜6か月 採用難・教育コスト・定着リスク
派遣・スポット委託 繁忙期や一時的な案件を乗り切りたい 2〜6週間 期間限定・引き継ぎの断絶・単価
情シス代行・外部委託 定常業務を継続的に手放したい 2〜4週間 範囲の設計・丸投げによるブラックボックス化

選択肢1:IT担当者を採用・増員する

最も本質的な解決に見えますが、現実的な難易度は高くなります。IT人材の採用は競争が激しく、中小企業が経験者を採るのは簡単ではありません。仮に採用できても、社内の環境を覚えるまでには数か月かかります。

また、採用した人に業務が集中する構造が変わらなければ、再び属人化したひとり情シスに戻る可能性があります。人を増やすだけでなく、業務の標準化とセットで考える必要があります。

選択肢2:派遣・スポット委託で人手を補う

繁忙期の端末入れ替えや、社内システムの移行など、期間と作業量が読める案件には効果的です。契約期間が決まっているため、費用の見通しも立てやすくなります。

一方で、期間が終われば担当者は入れ替わります。そのため、定常的な運用や日々の問い合わせ対応を任せるには向きません。スポット的な負荷を下げる手段と捉えるのが適切です。派遣の活用方法と注意点は情シスの派遣サービスを活用しよう!情シス派遣のメリットとはで解説しています。

選択肢3:情シス代行・外部委託に業務ごと任せる

ヘルプデスク、端末・アカウント管理、監視、バックアップ確認など、手順が決まっている業務をまとめて外部に委託する方法です。採用のような時間も、派遣のような期間の制約もなく、必要な範囲を必要なだけ任せられます。

すでに公開している情シスの代行サービスで人手不足を解消する方法では、サービス活用のメリットと注意点を整理しています。あわせて、情シス業務の代行で人手不足を解消するポイントも参考にしてください。

ただし、丸投げは禁物です。任せる範囲と社内に残す範囲を決め、月次でレポートを受け取り、定期的に見直す。この運用ができて初めて、外部委託は機能します。

なお、費用の考え方は情シス業務をアウトソーシングした場合の費用相場で、依頼できる業務の全体像は情シスはアウトソーシングで効率化できる!方法やメリット解説で確認できます。

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情シス代行を選ぶときの判断軸

外部委託を検討する際に、比較すべきポイントは3つです。

任せられる範囲が明確か

「情シス業務全般」という契約は、実際には何をどこまでやるのかが曖昧なままになりがちです。対応する業務、対応しない業務、対応時間、連絡経路が書面で明確になっているかを確認してください。

レポートと引き継ぎの仕組みがあるか

毎月、何を対応したのかが分かるレポートが出るかどうかは、非常に重要です。対応履歴が残っていれば、社内の課題も見えてきますし、担当者が変わっても業務が止まりません。

自社の担当者と併用できるか

情シス代行は、社内の担当者を置き換えるものではなく、補完するものです。経営判断や社内調整は社内に残し、定常運用を外部に渡す。この併用ができる委託先かどうかを、必ず確認してください。

まとめ

ひとり情シスが増加している背景には、人手不足や経営陣の理解不足などさまざまな原因が潜んでいます。

しかし、それが原因で情報漏洩や担当者の退職に繋がってしまうのが企業にとって1番のリスクと言えます。

ひとり情シスは企業全体の課題です。

最適なシステム運用を実現させるため、まずはどんなことから始めれば良いのか、情シス業務をサポートしているアウトソーシング先に相談してみてはいかがでしょうか。

ひとり情シスを解消するために、まず取り組むべきは「今の業務を可視化し、社内に残す業務と外部に任せる業務を線引きする」ことです。採用・派遣・外部委託のどれを選ぶにしても、この線引きができていなければ、負荷は減りません。

特に障害対応とベンダー管理は、1人で抱え込むと企業全体のリスクに直結します。定常運用を外部に任せ、社内の担当者が本来注力すべき業務に時間を使える状態をつくることが、結果としてセキュリティと事業継続性の両方を高めることにつながります。

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