企業の生産性を高めることは、利益の増加に直結する重要事項です。
生産性の向上には、IT業務の効率化が欠かせません。
この記事では、IT業務効率化で得られるメリットや注目すべきポイント、ITアウトソーシングの活用などについてまとめました。
IT業務の効率化にどんなメリットがあってどこに着眼するべきかを把握すれば、コア業務の生産性をより向上させやすくなるでしょう。
特にIT業務のアウトソーシング化は、取り入れる企業も増加している時代に沿った方法です。
IT業務を効率化するメリットは?
まず、IT業務とは具体的にどういったものを指すのか整理しておきましょう。
一言でIT業務といっても、その内容は多岐に渡ります。
企業活動を支える基幹システムの構築・運用・保守や、社内で使われるPC・ソフトウェアなど社内インフラに関する管理、さらには社員のITに関するトラブル対処を行うヘルプデスクとしての役割など、これらは全てIT業務に分類されます。
IT業務の中には、企業の成長につながるものもありますが、生産性の低い単純作業や、IT担当者の負担となるものも含まれます。
これらを見直し、効率化を図ることには以下のようなメリットがあります。
- コスト削減
- IT業務担当者の負荷削減
- コア業務への注力による生産性の向上
IT業務を効率化するメリットは、主に上記3つがあります。
特にコスト削減は、IT業務を効率化する一番の動機と言っていいでしょう。
また、IT業務を担う社員の負担を軽減できるので、働き方改革など職場環境の変革が求められている今、IT業務効率化は必須事項となっています。
本来優先すべきコア業務に集中できる環境となるので、生産性の向上にも直結し、売り上げ増加も見込めるでしょう。
コスト削減
売り上げを増やしてコストを削減するというのは、どの企業に関しても永遠のテーマです。
それに大きく貢献しつつ、手っ取り早く取り組めるのがIT業務の効率化です。
IT業務を効率化するには、アウトソース化したり新システムを導入したりするなど、初期費用が必要なケースが多々あるでしょう。
それを考えると本当に経費削減になるのか不安視する声もありますが、ITを効率よく運用できれば、作業のムダを省けるため、総合的に見るとコスト削減に繋がることが期待できます。
特に業務時間に左右される人件費は、IT業務の効率化で大幅にコストカットできる項目です。
IT業務を効率よく運用すれば社員1人ひとりの業務効率を向上させることが期待できるので、大きなコスト削減となり得るでしょう。
IT業務担当者の負荷削減
IT業務に無駄が多ければ、IT業務を担う社員の負担が増すことになります。
負担が増加すれば離職に繋がることもあり、IT業務担当者の入れ替わりが激しくなる事象は、多くの企業が抱えている問題のひとつです。
IT業務担当者が頻繁に入れ替わると、IT業務を安定させることができず、コア業務にも影響を及ぼすことでしょう。
しかし、グループウェアの導入で情報共有をやりやすくしたり、サーバーのクラウド化で保守管理を手軽にしたりなど、IT業務の効率化を図れば担当者の負荷を削減することができ、IT業務の品質向上や安定稼働も期待できます。
IT業務がコア業務の根幹を担っている企業も多いので、IT業務の効率化による品質向上や安定化稼働は、結果的にコア業務にもいい影響を及ぼすでしょう。
コア業務への注力による生産性の向上
コア業務をスムーズに遂行するためには、基盤となっているIT業務を整えてうまく機能させていく必要があります。
IT業務を効率化してムダを省くことによって、余計なことに時間をとられずにコア業務に専念できる環境が整うでしょう。
また、IT業務の効率化でIT部門に人手が要らなくなれば、コア業務に人材を回すことが可能です。
企業が本来力を入れたい部分の人材を厚くし、生産性の向上が期待できます。
そのため、IT業務の効率化は売上のアップや企業の成長に欠かせない重要事項で、注力して取り組むべきことのひとつとなっています。
IT業務を効率化するためのポイントとは
- 現状の業務を可視化する
- ノンコア業務とコア業務の切り分け
- ボトルネックとなっている箇所の特定
- ツールの導入、外部リソースの投入
IT業務を効率化するポイントは、主に上記の4つです。
IT業務は多岐に渡るものなので、ポイントを押さえて効率化を進めないと逆にコストがかかってしまったり、無駄が多くなってしまったりという可能性もあります。
まずは無駄を省くことが急務となりますので、何がムダで何が必要なのかを見分けるために現状の業務を可視化することが必須です。
そのうえでノンコア業務とコア業務を具体的に切り分ければ、注力すべき業務とアウトソース化する業務が見えてくるので、効率化しやすくなるでしょう。
そういった業務の洗い出しをしながら、ボトルネックとなっている部分の特定ができれば対策しやすくなり、スムーズな業務遂行に役立ちます。
適切なツールや外部リソースの方法も見えてくるので、コア業務の生産性を向上させるIT環境を整えることができるでしょう。
現状の業務を可視化する
IT業務に限らず、業務を効率化するには、今現在どんな作業がどんな方法でどれくらいの時間をかけて行われているかを把握しなければなりません。
漠然と把握するのではなく、誰が見てもわかりやすいように可視化する必要があります。
IT業務の担当者が1人しかいない企業は、作業がブラックボックス化しやすいため、特に注意が必要です。
業務がしっかり可視化できれば、不要な作業を取り除いたり、効率化が図れる作業を発見できたりします。
問題点なども見えてくるので、解決策も検討しやすく、業務の効率化が円滑に進むでしょう。
ノンコア業務とコア業務の切り分け
ノンコア業務とコア業務を細かく切り分けることで、専念すべき具体的作業がわかり、今まで担っていたノンコア業務をアウトソース化するなど、別の選択肢が現れてきます。
ノンコア業務とコア業務が細部に至るまで切り分けられていると、アウトソース化するべき業務範囲も見えてきやすくなるでしょう。
業務内容を改善しやすくなるので、ノンコア業務とコア業務の切り分けはIT業務を最大限効率化するために必要な作業です。
ボトルネックとなっている箇所の特定
IT業務を効率化するためには、全体の生産性を低下させている工程を見つけなければなりません。
作業効率を最も下げている部分は、すぐにでも対策を練る必要があります。
以下のようなポイントは、IT業務の効率を下げる要因となりやすい箇所です。
- 社員のITリテラシーが低いため、頻繁にサポートが必要
- 社内システムやネットワークが複雑になっている
- 自動化できる領域にもかかわらず手作業を行っている
ボトルネックを洗い出すときは、作業の停滞やトラブルが発生しやすいプロセスを見直したり、工数をとられたり稼働率が高かったりする工程を再確認することで発見しやすいでしょう。
プロセスや工程に問題がない場合は、単純にIT業務に携わるリソースが不足しており、個々の負荷が高いという状況がボトルネックである可能性もあります。
ボトルネックを特定して適切な解決策を見出せれば、IT業務を大幅に効率化することができます。
ツールの導入、外部リソースの投入など
ツールの導入や外部リソースの投入は、ITに関する作業を簡潔化したり人員削減に役立ったりします。
業務効率化だけでなく、コア業務に注力する余力を得ることもできるので、生産性の向上にも大きく繋がってきます。
外部リソースはいわゆるアウトソーシングですが、IT業務をアウトソーシングすればITのプロフェッショナルがIT業務を担うので、IT業務の品質向上や安定化のメリットがあります。
自社のリソースに限りがあるとIT業務効率化といっても限界があるので、アウトソーシングによって業務効率化を図るのはとても有効です。
IT業務を効率化するための具体的な方法
IT業務の効率化には、通信環境の整備やITツールの導入などいくつかの方法があります。
ITツールや外部サービスの活用をすることで、業務を効率化して生産性を向上させることができます。
また、組織内での情報共有がうまくいっていないのであれば、情報共有しやすい環境に作り直すのも検討してみてください。
実際にどのような方法でIT業務を効率化できるのか、細かくご紹介していきます。
通信環境や機器の整備
多くのデータを扱う場合、最適な通信プランで契約していないと、通信が重くなりなかなか業務が進まない可能性がでてきます。
例えば、光回線には昔からある「PPPoE方式」と最新の「IPoE方式」があり、IPoEの方が通信速度が速くなります。
都内の場合であれば、NURO光だと通信速度が速く料金も安いため、IT業務の効率化とコスト削減を両立できます。
また、機器の整備では、古い端末を使い続けるより、最新機器に買い替えたほうがより高性能のため、業務効率が大幅にアップします。
さらに、OSが古いと最新のウイルス対策に対応していない場合もあるので、できるだけ古いものは一定周期で買い替えれるように管理しておくと安心です。
社内の情報共有
複雑化している社内システムを整理して、組織全体で使いやすくすることもIT業務の効率化につながります。
共有フォルダの階層が深すぎてほしい情報がどこにあるか分かりにくいなど、社員の声を聞いて改善点をピックアップしましょう。
組織内で不便に感じている部分を改善することで、社内の情報共有をスムーズに行うことができます。
社内での情報共有が滞ると業務がブラックボックス化しやすくなり、特定の社員しか対応できない状況になってしまい、効率的ではありません。
また、社内ネットワーク環境を見直して、サーバーへのアクセス制限をつけるのも効果的です。
部署ごとに読み取り・閲覧・編集と、分けることで、複雑なフォルダ構成を作らなくて済むので効率が良くなります。
ITツールの導入・活用
ITツールの導入によっても、業務効率を大幅に改善できる場合があります。
実例としては、これまで蓄積したデータをExcelの関数やマクロを活用して登録していたとします。
このような場合、蓄積したデータを自動で収集し、必要なデータ形式に変換させるものものがありますので、人手を必要とません。
特に事務作業などのノンコア業務は、ITツールで自動化できるものが大半です。
毎日繰り返しになっている業務を中心として、ITツールによって負担軽減やミスの防止を実現できないか検討してみましょう。
外部サービスの活用
繁忙期になるとコア業務の負担が大きくなり、その他の作業を後回しにしてしまうことがあるかと思います。
しかし、ノンコア業務といっても放置することはできないので、場合によっては残業する必要がでてきます。
そんなときは、ITアウトソーシングを活用するとノンコア業務を任せることができ、作業のクオリティを下げることもありません。
新入社員が入社する際など、PCキッティングといった必ず人手が必要となる業務がでてきます。
このような作業が忙しくて手が回らない場合は、ITアウトソーシングを活用することで、手間をかけることなく問題をすぐに解決できます。
ITアウトソーシングの詳しい契約プランやお悩み解決事例は、こちらの記事をご参考ください。
関連記事:【IT無双の導入事例】ITに関する実際のお悩みと対策を公開!
IT業務を効率化する際の注意点
IT業務の効率化は、基本的にはシステムやITツールの見直しをすることがメインですが、ただ新しいものを導入すれば良いわけではありません。
全ての業務に対して最新のITツールを導入した場合、うまく活用できずにかえって業務が滞ってしまうこともあります。
そのため、現在行っているどの業務で多くの時間をとられているか、事前にしっかりと調査を行うことが重要です。
また、効率化ばかりに目を向けてしまい、何のために効率化しているのか見失ってしまうことも懸念されます。
ここからは、IT業務を効率化するためのシステムやツールを導入する前に、注意しておきたいポイントについてご紹介していきます。
効率重視で品質が低下する
手のかかる作業は自動化できるツールに任せることで、大幅に業務改善ができるかと思います。
しかし、手作業の方が細かな条件分岐にも対応できるなど、ITシステムではできないことが多いのも事実です。
導入事例の多いRPAなどの場合は、事務処理の自動化に最適ですが、文章の意味を読み取ったり、イレギュラーの条件を判断したりすることができず、コストも決して安くはありません。
また、効率を重視してITツールの導入を進めるあまり、コア・ノンコア業務が疎かになる可能性もあります。
効率化ばかりを考えず、どのシステムでITツールを導入すれば品質低下が起こらないかまで検討しておきましょう。
業務内容にそぐわない効率化手順を用いる
実際の業務を正確に把握していない状態で、便利そうだからとITツールを選んでしまうと、以前より工程数が増えてしまう可能性があります。
さらに、最新のシステムばかり導入してしまうと、設定に手間取ったり使い方が難しかったりと、組織内で活用しにくくなってしまいます。
また、新しいツールを導入するには、検討から導入まで多くの時間と人手を要します。
ITツールを購入するにしても、多額の費用がかかるので導入する前にはしっかりと検討が必要です。
業務効率を考えるのであれば、実際の現場で必要とされているシステムを把握したうえで導入するようにしましょう。
ITツールが定着しない
最新のシステムを導入しても、使い勝手が悪いと従来の方法で業務を進めてしまうことがあります。
事務作業など、ノンコア業務で効率化できるツールを導入するとなると、IT知識の少ない方が操作することが考えられます。
この場合、複雑な作業をする必要があり、専門的な知識がないと操作できないものだと、使うのが億劫になりITツールが定着しません。
そのため、ITツールを使用する全社員が操作しやすく、使い続けられるような工夫をする必要があります。
導入を検討する前には、アンケートでどのような悩みを持っているのかなど、事前に調査することをおすすめします。
また、お試しで導入して、実際の使いやすさを事前に確認するのも効果的です。
手段が目的化してしまう
何のために効率化するのかを明確にしておかないと、ただ「使いやすくなった」という認識で止まってしまいます。
効率化を図り、業務の生産性を上げるために導入したということを前提にしなくては、成果をあげられません。
目標を明確にして効率化することによって、空いた時間をコア業務に充てるなどの生産性向上が期待できます。
さらに、IT業務の効率を改善することで、社員の負担を軽減させることにもつながり、モチベーション管理もしやすくなります。
効果を検証しない
ITシステムは、導入するだけで終わりではありません。
実際に導入して一定期間使った後、効果測定を行い不具合があるのであれば改善を行いましょう。
例えば、以前のやり方と作業効率があまり変わらないのであれば、使い方の見直しを検討するなどです。
導入して終わりではなく、生産性が上がっているのか・社員の負担を軽減できているのかをフィードバックできるようにしましょう。
また、ITツールは定期的なバージョンアップも必要となりますので、対応できる体制作りも重要です。
人手が足りないせいでIT業務の効率化や効果検証が難しい場合は、こちらの記事をご参考ください。
関連記事:情シス業務の代行サービスとは?依頼するメリットや注意点を解説
IT業務の効率化に成功した事例
人手を必要とする業務が増えてしまうと、限られた社内のリソースだけで対応するのは限界があります。
そのため、自社にとって最適なシステムやITツールを導入し、効率化を図る取り組みが求められます。
しかし、実際にどこをどう見直して、どれだけの効率化が期待できるのか、まだあまりイメージがつかない方もいらっしゃるかと思います。
ここからは、実際に弊社がITアウトソーシングのお問い合わせをいただき、IT業務の効率化に成功した事例をご紹介いたします。
給与計算の自動化で業務負担を20%以上軽減
今まで手作業で行っていた勤怠管理と給与計算のソフトを連携させて自動化することで、経理・管理部の業務負担を20%以上軽減することができます。
ボタン1つで給与データを出力でき、事務処理の手間を省きつつ、正確な勤怠・給与管理が可能となります。
ただ手間を軽減させるだけではなく、給与計算は絶対にミスが起こってはいけないものですので、正確性を確保できるのは非常に大きなメリットと言えます。
特別なシステムを導入する必要はなく、互換性のある勤怠管理・給与計算ソフトとGoogleスプレッドシートだけで対応できますので、初期費用が抑えられるのも魅力です。
営業活動の数値化で売上が1.3倍アップ
現在の営業方法と利益率をデータ化して最も効率の良い営業方法を見極めることで、年間支払っていた広告費200万円を削減しつつ、売上を1.3倍までアップさせることができました。
実際に営業方法と利益率の調査を行ったところ、ご相談いただいた方の場合は、ネット広告が最も費用対効果が悪いことがわかりました。
そこで、最も効率が良く、利益率の高い方法で営業活動が行えるように改善したところ、売上を1.3倍あげることに成功しました。
営業方法にはフィールドセールスやインサイドセールスなど、さまざまな方法がありますが、どの方法が一番利益率が高いかを数値化させて見直すことで、即効性のある売上アップが期待できます。
エンジニア派遣で人件費を24%削減
弊社からエンジニアを派遣することで、自社で対応した場合と比較して、24%の人件費を削減することに成功しました。
ITアウトソーシングを利用するより、自社で対応した方がコストが安いように思えますが、自社で対応した場合でも当然人件費のコストがかかっていることになります。
特に専門的な知識と技術を持った人材が簡単な定形作業に追われている場合は、生産性をデータ化するとかえってコストが高くついていることがあります。
そこで、負担になっている定型業務をアウトソースして切り離し、弊社のエンジニアが対応することで、生産性と人件費を大幅に改善できました。
弊社のITアウトソーシングでは、エンジニア派遣の頻度やオンラインミーティングの回数をお選びいただけますので、アウトソースしたい業務に合わせて柔軟に対応可能です。
まとめ
IT業務の効率化には、手作業の業務を自動化・アウトソーシングの利用などさまざまです。
組織内での業務に応じて、どのようなITツールがおすすめなのかは変わってきます。
そこで、こだまシステムでは、貴社に最適なIT業務の効率化をご提案しています。
実際の成功事例をご紹介しながら、導入コストとどれだけ効率化できるかを比較してご検討いただくことが可能です。
さらに、PCキッティングやヘルプデスク代行サービスも行っており、ノンコア業務の代行もお任せいただけます。
IT業務の効率化でお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。