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【コラム:情シスはつらいよ⁈】IT担当の負担改善が進まない根深いワケ

情報システム部の設置やアウトソーシングが進まない理由。それは、導入までに大きく3つの壁が立ちはだかっていることが原因であり、それらを解消できる『リモート情報システム部』について、以前ご紹介しましたね。

『リモート情報システム部』だけが解消できる!情シス設置までの3つの壁

しかし、IT担当の置かれた状況をさらに深掘りすると、そもそも、情報システム部に対する経営層の評価や認識と、実際にIT担当が背負っている負担や価値との間にズレがあることが、情シス問題の根底にあるように思われます
今回は、情報システム部という仕事の重要性がなぜ正当に評価されにくいのか、業務上の特性を踏まえながら考えてみましょう。

情シスの価値を見えにくくしている、IT業務の3つの特性

そもそも、企業の中には様々な仕事があります。企業規模が大きくなるほどそれぞれの業務に特化した部署に細分化され、各部署がエキスパートとして各々の務めを果たすことで、事業を維持しているのですね。逆に言えば、規模が小さい企業では、部署として細分化しきれない業務を包括的にこなせるオールラウンダーが重宝されることも多いわけです。
そして情報システム部は、本来エキスパートが必要な仕事にも関わらす、部署として成立していなかったり、オールラウンダーに丸投げされたりしがちなのが現状。そうなってしまうのは、IT業務という新しい仕事が持っている特殊性にあるのです。

特性①:何をしているのか見えにくい

「情報システム部の人は何をしていますか?」と社内で質問したとして、具体的に答えられる人はどのくらいいるでしょう。もちろん、抽象的には「ヘルプデスクやシステムの保守」という回答が定番かもしれませんが、それが具体的に日々どういう作業をしていて、自分の会社や業務にどう役立っているのか、明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか
社内システムを利用する現場の社員はまだしも、実務から離れた管理職になってくると、「いつもパソコンに向かって何しているのかわからない」という人さえいるかもしれません。

この「何しているのかわからない」というのは、業務の質だけでなく、量の把握にも影響します。例えば、経理なら決算期は大変だろうなとか、人事なら採用活動が始まると多忙だろうなとか、営業は今が書き入れ時だなとか、なんとなく他部署のことも想像できますよね。
でも、IT業務となると、いつ何が忙しいのか、そもそも何をしていてどう忙しいのか、いまいちピンと来ない人が多いのではないでしょうか。
何をしていて何が大変なのかをきちんと理解してもらえないことが、情シスの仕事や価値について正当な評価を妨げる要因の一つになっているのです

特性②:恩恵を受けていることを実感しにくい

情シスの評価を妨げる2つ目の特性は、社内インフラなど、情シスの仕事はうまく機能している状態がデフォルトとして認識されており、周囲が恩恵を感じにくいということです
例えば電気や水道がそうですが、今の日本で夜に照明が点くことや、蛇口から水が出ることにいちいち感謝する人はいないですよね。ですがひとたび停電や断水になれば、「どうなってるんだ」「いつ復旧するのか」と大騒ぎになります。

実は情シスが担う社内インフラの整備やシステムの保守も似たような側面があります。毎日受発注システムが使えることにいちいち「IT担当さんありがとう!」とはならないものの、いざトラブルで使えなくなったら「情シスは何やってるの⁈」となるわけですね。
ネットがつながらない、サーバーがダウンした、受発注や生産・在庫管理ができなくなった、顧客情報が流出してしまった……このようなシステムトラブルは、大企業であれば全国ニュースレベル、中小企業にとっては信用問題にもなり、イメージにも経営にも深刻なダメージを与えます。
こうした事態を避けるために、IT担当者は日々黙々とパソコンに向かっているわけですが、いつもこなしている大部分の仕事は見向きもされないのに、何か起きた時にだけ、うまくいかなかったわずかな部分を責められてしまうのですね。周囲にとって、情シスの仕事は「できたから凄い!」ではなく「できていて当然」という感覚なのです。

これは裏を返せば、トラブルを起こさせない優秀な情シスであればあるほど、自身の存在感が霞んでいくという皮肉な事態を引き起こします
システムにトラブルがなく、ヘルプデスクもFAQが分かりやすいなど直接問い合わせがくる頻度が少なければ、見かけはただパソコンの前に座っているだけで、極めて平和で暇そうとまで見えるかもしれません。その平和を維持するためにあらゆることに手を尽くしているにもかかわらず、です。

社員全員がいつも通りスムーズに仕事ができるよう日々頑張っているにもかかわらず、その成果が上がれば上がるほど大してやることがない部署に見られてしまう。つまるところ、キャパオーバーになって他部署の業務に影響がでるまで、仕事が増え続けてしまったり、人員補充などの業務改善がされないという事態になりかねないのです。

特性③:直接には利益を生み出さない

今まで挙げた2つの特性にダメ押しするのが、この収益を生まないという業務特性です。情シスにいくらお金をつぎ込んでも、企業の収益がダイレクトに増えるわけではないのですね
もちろん、収益を生まない部署はたくさんあります。しかし伝統的な部署であれば、経理がいなかったら会計ができない、人事がいなかったら採用や昇給に差し支えるなど、企業の中でどんな役割を果たしているのか、不在になればどんな問題が起きるのか、予算を割く必要性は経営層も十分理解しているはずです。
ところが情報システム部となると、比較的新しい部署である上に前述したような業務内容や受ける恩恵のわかりにくさから、投資の対象として選ばれにくくなってしまいます。企業活動がいつも通りできるのは、情シスの働きがあってこそなのですが、なかなかそこに気づいてもらえないのです。

企業が各部署に割ける資金は限られているため、対費用効果の高いところから優先的に予算を割り当てるのは当然であり仕方のない部分はあります。けれど、情シスがどのような役割を果たしていて、投資したらどのような効果があり、結果的に収益アップ、あるいはコスト削減につながるのかという部分が理解されないまま、なんとなく後回しにされてしまいがちなのが、情シスの現状といえるでしょう。

情シスの境遇が彷彿とさせるもの

今の時代、もし情シスがなければ、ネット社会に対応することも、便利なシステムを利用することも、機密情報を守ることもできません。そうなればIT社会から取り残され、顧客の信頼も失い、ビジネスどころではないはずです。
にもかかわらず、正しく理解・評価・改善をされぬまま、それでも誰かがなんとかしなければならないから無理して頑張っている……情シスがおかれた境遇を整理すると、あまりにも報われない立場にあると言わざるを得ません。現に、検索エンジンに「情シス」と入力すると、「つらい」とか「嫌われる」「無能」などなど、ショッキングな検索ワードが候補に表示されます。

実はこの情シスの境遇、ある立場におかれた人々を彷彿とさせるものがあります。みんなの日常がスムーズに継続するために欠かせない務めでありながら、大変さが理解されなかったり、感謝はされないのに文句は言われたり、お金にならないことを責められたりする、とても身近な労働をこなす人たちです。
同時に、情シスをそうした身近な立場に例えてみると、経営層がなぜお金をかけたがらないのか、思わず共感できる理由も見えてきます。

では、情シスに酷似した境遇の労働とは何でしょう?
次回、情シスの業務を「ある労働」に例えながら、なぜ負担改善にお金が使われないのかを、さらに深掘りして考察していきます!

パソコンの前で頭を抱える男性
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