これまで二度にわたり『リモート情報システム部』の特長をご紹介してきました。
コストを下げてクオリティは維持し、日本全国どこからの依頼にもこたえられるので、より多くの企業でアウトソーシングを可能にできるという、画期的なサービスでしたね。
しかし、そんなに素晴らしい仕組みがあるなら、「従来の常駐情シスはもはや不要なのでは?」と、引っかかりはしませんか?
「常駐で頼むつもりだったけれど、もしかしてリモートで十分なの?」とか、「リモートなら予算がとれそうだけど、何だかんだ制約があって常駐に誘導されるのでは?」と、疑問や不安に思われても無理はありません。
結論から言えば、リモートでも常駐でも、サービスに優劣はありません。
しかし、リモートだからこそできることがあれば、常駐だからこそできることがあるのもまた事実。
つまり、内容の優劣ではなく、企業によって「向き不向き」があるということです。
今回はどんな企業が『リモート情報システム部』に向いているのか、常駐と比較しながら見ていきましょう。
常駐とリモートの違いとは
おさらいとして、従来の常駐方式と、新しいリモート方式の違いを確認してみましょう。下の図がそれぞれの仕組みのイメージになります。
常駐はエンジニアを独占
常駐の場合は、アウトソーシング先であるIT企業から依頼した企業に対して、エンジニアが一社一社に派遣されます。
このエンジニアは依頼企業の業務を専門で担当し、忙しい時でもそうでもない時でも、担当する一社の仕事だけを専任で請け負います。
依頼企業は優秀なエンジニアを独占できる代わりに、彼に必要な費用を全額支払うことになります。
リモートは他社と共有
一方リモートの場合、エンジニアは各企業には出向かず、自社からリモートで業務を行います。どこかの企業に縛り付けられることがないため、業務状況に応じて複数社の案件に対応することもでき、IT企業側は貴重な人材を無駄なくフル活躍させることができます。
依頼企業は専属のエンジニアを持たず他社と共有する代わりに、必要なコストも他社とシェアして減らすことができます。
『リモート情報システム部』がおすすめな企業の特徴
上記の違いを踏まえると、どんな企業ならリモート方式が向いているのかが見えてきます。大まかに4つ、リモート情報システム部が適した企業の特徴をまとめましたので、一つずつ見ていきましょう。
会社の規模が大きすぎない
『リモート情報システム部』は現場にエンジニアがいないため、比較的ルーチン化できる業務や安定的な運用に向いています。
逆にイレギュラーな状況やトラブルがしょっちゅう起こるような状況だと、その都度問い合わせが必要になり、お互いに効率が下がってしまいます。
当然ですが、会社の規模が大きく従業員数も多くなればなるほど、トラブルや問い合わせも起きやすくなるため、ある程度コンパクトな企業の方がリモート方式には適しています。
専任のIT担当がいない(≒IT業務がそこまで忙しくない)
「忙しくないのに外注するの?」と意外に思うかもしれません。しかし、多忙とまで言えないゆえに専任のエンジニアを雇わず、できそうな誰かに押し付けている状態が、中小企業に横行する『兼任情シス』です。
その結果、本業に支障をきたしたり、対応が難しかったりして負荷がかかり、離職などにつながることが問題となっていることを考えれば、そういう企業にこそリモート方式がおすすめといえます。
「多忙ではないから外注はもったいない!」ではなく、「多忙ではないからリモートでお得に頼める!」と発想を転換してみてください。専門的な部分やオーバーワークになっている部分だけを割安なリモートでプロに頼んでしまえば、コスパでは最強の選択肢です。
社内に限界の『ひとり情シス』が既にいる
上記と真逆になりますが、情シスがいるのにワンオペで破綻しそう、かといって二人目は雇えないというパターンも、実はリモート向きといえます。
リモートで頼みやすい最小限の部分だけを外注にまわすことで、IT担当の負担を軽減し労働環境を改善できるとともに、より重要な業務に集中しやすくなるからです。
過労や不満で離職してしまってから後継者を探したり雇ったりを繰り返すよりは、いっそ割安なリモートを利用してしまった方が確実なのです。
そのうえ、社内に一人でも専門家がいることで、スピード感のある現場対応や実機の操作が可能になるので、リモートの弱点を完全にカバーすることができる、パーフェクトな情シスに仕上がります。
社員に一定のITリテラシーがある
リモート情報システム部に唯一デメリットがあるとすれば、それはやはり現場にエンジニアがいないことです。
そのため、現場での対応が必要な機器(実機)のトラブルなどは、すぐに対応することができません。「訪問サポート」のオプションをつけていても、“どこでもドア”で瞬間移動はできないですよね。
また、お抱えのエンジニアがいるわけではないため、お問い合わせを頂いた際は、いったん受付がご相談内容を伺ってから、担当者や適任者につなぎます。つまり、何にどう困っているのかをきちんと説明していただく必要があり、対応にもタイムラグが発生するのです。
「あのシステムがなんかおかしい!」とか、「パソコンが動かなくなったけどどうしよう!」という内容の問い合わせだと、期待通りの対応ができずストレスになる可能性があります。まずは再起動やネット・ケーブルの接続など初歩的な原因を確認したうえで、説明が難しいならせめて「スクリーンショットを送るので現状を確認して!」というような問い合わせ方が最初からできるかどうかが、カギになるのですね。
リモートでのやりとりをスムーズに進めるには、社員にある程度のITリテラシーがあり、置かれた状況を言語化できたり、基礎的な操作や解決法は自分で行えたりする必要があるのです。
情シスは企業に合った方式を選びましょう
いかがでしたか?「うちはリモート情報システム部がぴったりだ!」と感じた方も、「興味があったけど、残念ながら向かないかも……」と思った方もいらっしゃったのではないでしょうか。
もし今までの内容を読んで「向いてない」と思われたなら、それは裏を返せば従来通りの『常駐情報システム部』が合っているということになります。
- 会社の規模が大きい
- IT業務が多く発生し常に忙しい
- 新しく情報システム部を立ち上げたい
- ITに疎い社員が多いので現場を見てほしい
このような場合は、常に現場に居てつきっきりで助けてくれる、常駐方式がおすすめです。
その場での対応や実機操作が可能なだけでなく、ずっと現場を見ているからこその、阿吽の呼吸でのやりとりや提案も可能になるからです。
コストは上がってしまいますが、中長期的に見ればメリットのある選択となるに違いありません。逆に、安さだけでリモートを採用しても、企業に合わなければ本来のメリットを活かしきれない可能性があります。
まとめ
情報システム部はリモートか常駐か。その答えは各々の企業にあります。
どちらのシステムにもクオリティとしての優劣はなく、それぞれの特長にメリットとデメリットが表裏一体となっているだけにすぎません。
一つだけ確実なのは、『リモート情報システム部』の登場により、企業に選択肢が増えたこと。そしてそれにより、ITアウトソーシングのハードルが確実に下がったということです。
どちらを選べばいいのか、どちらなら理想のアウトソーシングが可能になるのか、迷ったならまずは一度ご相談ください。