弊社こだまシステムの『IT無双』から生まれた新しいサービスに、『IT戦略顧問』というものがあります。
ただの外注先としてだけではなく、ITのプロとして依頼内容の背景にあるお悩みや問題を根本解決に導き、クライアントの成長を後押しするITサポートの形です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
今回は、この『IT戦略顧問』を生み出したこだまシステムがどのような企業であるかをお伝えするために、お客様とのエピソードをひとつご紹介します。
ホームページリニューアルのご依頼に潜んでいた本当の悩み
それは今から約10年前のこと、とあるクライアント様から、ホームページの改修を依頼されました。
さっそくお話を伺うと、ホームページを管理している担当者から「せっかくお金をかけて改修するのだから、最先端の技術でスタイリッシュにしたい!」というご要望を頂きました。
難解なコンピューター言語を使いこなし、トレンド感あふれる見栄えの良いホームページを作ることは、まさにエンジニアの腕の見せ所。
二つ返事で作業に取り掛かりたいところではありますが、そもそもホームページの改修が必要だと考えたきっかけや、お金をかけても外注することを選んだ理由など、詳しくヒアリングを行っていきました。
すると、担当者ではなく社長の口から、思ってもみなかった発言が飛び出してきたのです。
「今のホームページは、たった一人の担当者にしか管理できなくて困っている」
そうです。社長は、唯一の担当者が不在になるとWEBサイトの変更や更新ができなくなること、それゆえ担当者が長期休暇を取れずにいることに、頭を悩ませ心を痛めていたのです。
「ホームページを格好よくリニューアルしたい」という依頼の陰には、今のホームページに対する不満や悩みが必ずあるはずです。そしてこのクライアント様の場合、本当の不満や悩みは「ホームページのデザインが気に入らないこと」ではなく、管理がいわゆる「属人化」されていることだったのです。
ホームページの「見栄え」だけを良くしても問題は解決しない
さて、クライアント様の真の悩みが「ホームページ運営の属人化」であったなら、WEBデザインをスタイリッシュに刷新することだけを考えることが、お悩みの解決策につながるでしょうか?
ITのプロとして、弊社が出した答えは「NO!」です。
いくら見栄えの良いホームページになったところで、現状一人にしかできないことを他の社員ができるようにはならないし、むしろデザインにこだわり複雑なコーディングになれば、高度な知識のない人には理解できず逆効果になる危険性すらあります。
そこで、我々は敢えて華美にしすぎない、洗練されているがシンプルで機能を抑えたホームページを提案しました。クライアント様のご要望とは、異なる選択肢を示したのです。
当然、クライアント様は納得してくれませんでした。お客様としては、外注先が依頼通りの仕事をしたがらないというのは、決して気分の良いものではなかったことでしょう。
しかし、何度も話し合いを重ね、デザインだけを変えても本質的な不満は解消できないこと、過度に凝ったデザインにしなくても問題は解決できること、属人化を見直すことこそ本当に必要なアクションであることなど、根気強くご説明を続けました。
そしてついに、お客様も私どもの提案に理解を示し、シンプルなホームページへの改修を認めてくださったのです。
結果、どうなったでしょう。実はその後、今に至るまでの約10年間、大きな改修をすることなく、細かなメンテナンスを続けながら当時のホームページを使い続けて下さっています。
その10年の間には、ホームページを閲覧するメインデバイスはPCからスマートフォンに、ブラウザもIEからサファリやクロームにシェア率が移行していきました。
WEBデザインというのはトレンドの移り変わりが激しく、デバイスやブラウザの変化に伴い、数年で改修・刷新するのが業界の常識。にもかかわらず、10年近くも安定運用いただいたのは、弊社としても予想を超えた結果でした。
そしてこのような長期運用が可能だったのは、デザインのみを焦点としたWEBサイトではなく、クライアント様の問題の本質を理解した上で、シンプルで飽きが来ない、管理しやすいホームページを制作したからに他なりません。
お客様のためにならない仕事は「いたしません!」
本当にあった、こだまシステムの『IT無双』とお客様のエピソード、いかがでしたか?
ここまでして、お客様の依頼に首を横に振り、手間暇かけて話し合いを重ねるメリットが、いったいどこにあるでしょう。
正直なところ、話し合いなど一度だけにして、お客様の望み通りに格好良いホームページをさっさと制作し、「早い!きれい!さすがプロ!」と喜んでもらえた方が、お互い気分も良いし楽なものです。
そしてたとえその結果、ホームページを管理できる人がいなくなって困ったとしても、その時はまた改修を依頼してもらえるなら、こちらの売り上げにもなります。
しかし、こだまシステムは、そうしたお客様のためにならない仕事の仕方はいたしません。
こと中小企業にとっては、限られたリソースからITの外注に予算をつけるのは、とても覚悟がいることです。頼んでみて、うまくいかなかったらまた別に外注すればよいとはなりません。
ましてや、本質的な問題が解決できず、いずれまた困ることになると分かっていながら、「依頼された通りの仕事はしたから、困ったことが起きたらその時はまた頼ってね」と突き放すのは、あまりにも無責任だと考えているからです。
ご紹介した実例のように、クライアント様自身が依頼した悩みの本質に気づいていないことはよくあります。だからこそ、ITのプロとして、専門家の目線でヒアリングを重ねて現状を正しく分析し、本当に必要な支援をする。
裏を返せば、たとえお客様のご要望であっても、お客様のためにならない仕事を売り上げのために割り切って引き受けるということは、絶対にしてはいけない。
その信念こそ『IT無双』を支えるこだまシステムのポリシーであり、こうした考えが外注先を超えた存在としての『IT戦略顧問』という在り方を形作っているのです。