「突然、会社のデータが全部消えたらどうしよう…?」
想像するだけでも恐ろしいこの事態は、地震や台風といった自然災害だけでなく、サイバー攻撃・システム障害・従業員の誤操作など、あらゆる原因で起こり得ます。
そんな万が一の事態に備えておくのが、『BCP=事業継続計画』。
中でも、データバックアップと迅速な復旧体制の確立は、まさに事業の生命線とも言える最重要ミッションです。
なぜなら、特に中小企業にとって、事業を支える顧客情報・取引履歴・設計データ・会計データなどの「デジタル資産」の消失は、そのまま事業停止に繋がりかねない致命傷だからです。
そこで今回は、BCPへの取り組みの中でも、中小企業が必ず押さえておきたいデータバックアップ・復旧の重要性と、その具体的なツール・方法をご紹介します。
1. なぜデータバックアップがBCPの要なのか?
現代のビジネスは、デジタルデータによって成り立っています。もし重要なデータが失われたら、何が起こるでしょうか?
- 顧客データが消え、顧客対応が不可能に
- 過去の取引履歴がなくなり、請求や支払いが滞る
- 製品の設計データや開発中の情報が失われ、生産がストップ
- 会計データが消え、会社の財政状況が把握できなくなる
これらはすべて、事業の継続を困難にし、最悪の場合、倒産に追い込まれる可能性すらあります。
データバックアップは、単にデータをコピーする行為ではありません。それは、事業を継続し、顧客との信頼関係を守り、企業の未来を守るための「保険」なのです。
2. データ消失を防ぐ!中小企業におすすめのバックアップ・復旧ツール/サービス
予算やIT人材が限られる中小企業でも導入しやすく、効果的なデータバックアップ・復旧の選択肢は複数あります。
(1) クラウドストレージ・ファイル共有サービス
最も手軽で、多くの企業がすでに利用しているかもしれないのが、クラウドサービスです。
できること:
- 会社の重要なファイルや書類をオンライン上に保存し、リアルタイムで同期・バックアップします。
- インターネット環境があれば、どこからでもアクセス可能。災害でオフィスが使えなくなっても、自宅や別の場所から業務を継続できます。
- サービスによっては、ファイルのバージョン管理機能があり、誤って上書きしてしまった場合でも前の状態に戻せることがあります。
こんな企業におすすめ:
- 紙媒体の書類を減らしたい企業
- 従業員間のファイル共有を効率化したい企業
- 比較的少量の重要データを手軽にバックアップしたい企業
- テレワークを推進している企業
導入のポイント:
(2) バックアップ専用サービス/ソフトウェア
より専門的で、大量のデータやシステム全体のバックアップに適しています。
できること:
- 会社のサーバー、PC、基幹システムなどのデータを定期的に自動でバックアップし、遠隔地のデータセンターやクラウド上に安全に保管します。
- システムが故障した場合でも、バックアップデータからシステム環境ごと迅速に復旧できる機能を持つものもあります(ベアメタルリカバリなど)。
- ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)対策など、高度なセキュリティ機能を持つサービスもあります。
こんな企業におすすめ:
- 基幹システムや大量の顧客データを抱える企業
- システム障害時のダウンタイムを最小限に抑えたい企業
- より専門的で包括的なバックアップ体制を構築したい企業
導入のポイント:
(3) 外付けHDD/SSD + オフサイト保管
最も低コストで始められる物理的なバックアップ方法です。
具体的な方法:
バックアップが完了したら、その機器を会社の外(自宅、貸金庫など)に持ち出して保管します。
こんな企業におすすめ:
- コストを最大限に抑えたい企業
- デジタルデータの量が比較的少ない企業
- 簡易的なバックアップから始めたい企業
導入のポイント:
3. バックアップ・復旧体制をさらに強化するポイント
ツールを導入するだけでなく、以下の点にも注意して運用しましょう。
バックアップ計画の明確化
- 何を(Which data?): どのデータをバックアップするのか?(最重要データから優先)
- いつ(When?): どれくらいの頻度でバックアップするのか?(業務の更新頻度による)
- どこに(Where?): どこにバックアップデータを保存するのか?(物理的に離れた場所が理想)
- 誰が(Who?): 誰がバックアップ作業を担当するのか?
- どのように(How?): どんな手順でバックアップするのか? を文書化し、担当者間で共有しましょう。
バックアップデータの定期的なテスト
バックアップは「取っているだけ」では意味がありません。
「いざという時に、本当に復旧できるのか?」を確認するため、定期的にテスト復旧を実施しましょう。
テストを通じて、計画の不備やツールの問題点を発見・改善できます。
「3-2-1ルール」を意識する
- 3:データのコピーを3つ持つ(元のデータと2つのバックアップ)
- 2:異なる2種類のメディアに保存する(例:内蔵HDDと外付けHDD、または社内サーバーとクラウド)
- 1:そのうち1つはオフサイト(遠隔地)に保存する
このルールを意識することで、より堅牢なバックアップ体制を構築できます。
まとめ:データは会社の財産、守る意識を経営の中心に
中小企業にとってのデータは、いわば事業を動かす「血液」です。その血液が失われてしまえば、事業は停止してしまいます。
今回ご紹介したようなツールや方法を活用し、まずはできることからデータバックアップの体制を構築していきましょう。
そして、一度作った計画は、作っただけで満足せずに定期的に見直し、訓練を行うことも重要です。
もしも具体的な進め方やツールの選定に悩んだり、現状のバックアップ体制や計画が本当に有効なのか不安だったりする場合は、こだまシステムの『IT戦略顧問』にお任せください!
バックアップ体制の整備はもちろん、あなたの事業に最適なBCPの取り組み方を丁寧にご提案いたします。
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BCPについての具体的な内容は以下の記事をご参照ください