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【コラム:情シスはつらいよ⁈②】情シスが報われないのは○○業に似てるから⁈

前回のコラム『情シスはつらいよ⁈』にて、情シスという仕事の負担がなぜ改善されないのか、IT業務の特性から考えてきました。

【コラム:情シスはつらいよ⁈】IT担当の負担改善が進まない根深いワケ

その業務特性とは、①何をしているのか見えにくい②恩恵を受けていることを実感しにくい③直接には利益を生み出さない、ということであり、これらの相乗効果が、①大変さが理解されず②大切さも評価されず③お金をかけてもらえない、という現状を生み出しているのでしたね。

  • みんなの仕事がはかどるように日々奮闘しているのに、何をやっているのかいまいち理解されず時として暇にすら見られてしまう……
  • 日ごろどんなに頑張っていても特別感謝もされないのに、たまにいつものことができなくなった時には文句だけ言われてしまう……
  • やることがたくさんあって疲弊していても、その仕事自体は一銭も稼いでいないからという理由でお金をかけててもらえない……

なんとも悲しくなる話ですが、ところでこんな嘆き、どこかで聞いたことはありませんか?そう、俗に主婦(夫)業と呼ばれる、家庭で家事育児や介護などを全般的に担う人たちの嘆きです。
一緒にしてくれるなと思うかもしれませんが、仕事内容は別として、考えれば考えるほど両者の性質には驚くほどの共通点が見出せます。
今回は情シスを身近な主婦(夫)業に例えつつ、なぜ情シスが経営層から投資をされにくく、業務改善が進まないのか、独自の視点でさらに掘り下げていきましょう。

情シスと主婦(夫)業の共通点

そもそも、情シスが主婦(夫)業に似ているというのはどういうことでしょうか。
企業と家庭、規模も仕事内容も異なりますが、共通点として、主婦(夫)業にも以下の特性があることが挙げられます。

  1. 共同体の活動を陰で支えている
  2. できていても感謝されず、できないと責められる
  3. 業務内容が多岐にわたる
  4. 直接的な収入につながらない

もし、家事をする人がいなかったらどうなるでしょう。日々の食事や着替えを用意できず、不衛生なゴミ屋敷になってしまっては、仕事にも健康にも支障をきたしますよね。
しかし、食事や着替えが用意され家が清潔で片付いているのはあまりにも普通のこと過ぎて、日ごろは特別ありがたいことには感じません。そして担当者の不調や不在でいつもしていたことができなくなると、とかく家族からかけられる言葉は「いつもありがとう」ではなく、「今日の夕飯どうするの?」だったりするものです。
普段頑張ってできていることは評価されないのに、一時的にできていないことは責められるつらさ、IT担当者なら共感できるのではないでしょうか

さらに、主婦(夫)の仕事というのは多岐にわたります。家事と育児と介護ではまったく別の仕事になりますし、同じ家事でも掃除と炊事と洗濯にはそれぞれ異なった知識やスキルが必要です。分割すれば別々の職業として成り立つくらいですから、一人で全てこなすというのは、よくよく考えれば大変なはずです。
情シスの仕事も同様に、新規システムの開発と、日常的に発生する問題へ対応するヘルプデスク、社内の大切なデータを管理するサーバの構築や運用、ネットワークやセキュリティの管理などでは必要な知識もスキルも異なるはずですが、一人で全て背負っていることも往々にしてあります

そして極めつけが、やはりどれだけ頑張っても、それ自体は収益にならないこと。同じ仕事でも他人のために職業として提供すればお金になりますが、身内のためにはどれだけ完璧にこなしたとしても、食材や洗剤を消費するだけで世帯収入は増えないのです。
情シスもまた裏方業務ですから、企業にとっては人件費はかかるのに売り上げにはつながらない仕事とされてしまうのですね。

大変だからと住み込みの家政婦(夫)を雇えるか

いかがでしょう。情シスと主婦(夫)業には、意外なほど共通点があり、規模や仕事内容は違えど境遇も酷似しているように思えませんか。
そして同時に、情シスを主婦(夫)業に例えてみると、経営層から投資をされにくく、業務改善が進まない理由も腑に落ちるのではないでしょうか。

もしも、今までワンオペで、あるいは仕事と両立しながら主たる家事育児を黙々と担ってきたパートナーが、突然もう限界だから家政婦(夫)を雇って!」と言い出したら、「ちょっと待ってよ⁈」となりませんか?「家事が君の仕事でしょ?」とか「だったら外注できるだけ稼いでよ!」とか、思わず言いたくもなりませんか?(それを言っちゃあおしまいですよ!)
仮に前向きに検討したとしても、住み込みの家政婦(夫)を雇うには相場として月30万円以上かかると知ったなら、「やっぱり無理」となるのが一般的な家庭ですよね。だって特別お金をかけなくても今も普通に生活してるんですよ?「手抜きしていいから」などとなだめながら、なんとか現状を維持してもらう方向にもっていくのが筋ではないでしょうか
そうして担当者が本当に限界を迎え、身体を壊して入院してしまったり、愛想をつかして出て行ってしまったりして初めて、今までどれだけ生活を支えていてくれたのかに気づくというのは、もはやお決まりのシナリオ。
ベタ過ぎるくらいのパターンですが、情シスという仕事については、これを大真面目に繰り返している企業が少なくないわけです。なぜなら、IT業務はやはり主婦(夫)業と同じように、ワンオペでも、別の仕事をしながらでも、プロじゃなくても、何とかなる(と思われがちな)仕事であり高いお金をかけるほどではないと思われてしまっているからです。

投資されないのはコスパが悪いからにすぎない

さて、情シスにお金をかけてもらえないのは主婦(夫)業に似ているからという話をしてきましたが、それがイコール「不要である」ということではありません。生活するうえでは多かれ少なかれ、家事はしなくてはなりませんからね。あくまでも、大変さや重要性が理解されず、お金をかけても回収を望めないのに、外注しようと思うととんでもないコストがかかるということが、投資対象にならない原因なのです。

その証拠に、家事でも専門性が高くプロにしかできないような仕事は、当然のように高いコストをかけて外注します。いくらお金がかかるからといって、フォーマルスーツを手洗いしたり自宅で寿司を握ったりする人は、そうそういませんよね。コストに見合ったパフォーマンスを得られるなら、お金をかける価値は皆ちゃんとわかっているのです。
問題は、年中無休で続く洗濯や炊事・掃除のように、一つ一つは難しくないけれど、日々組み合わさり積み重なって担当者の負担になるような業務。実はこうしたルーチン業務こそ、外注してしまえばかなりの時間や労力を節約できるのですが、自前でできる作業に目玉が飛び出るようなコストをかけようとは、まず思えないわけですね。

ではもし、月々ほんの数万円で住み込みの家政婦が雇えるとしたらどうでしょう。極端な話、家事をしながら扶養内パートより、むしろ家のことは丸投げして正社員で働いた方が収入が増えるなら、金銭面では迷わず投資できませんか?
情シスにおいても同様です。経営層がお金をかけるかどうかの基準は、あくまでも投資分を回収できるだけのメリットがあるかどうか。しかしコストはバカ高いのに業務特性ゆえにメリットが理解されにくいわけですから、投資をしてもらえるようにするには、何よりもまずコストを下げるしかないわけです。

家庭なら家事代行も選べるが、情シスは?

ところでお気づきのように、家政婦(夫)というのは必ずしも住み込みで雇わなければいけないわけではありません。とんでもない豪邸や大所帯でない限り、実際にオーバースペックなのは言うまでもないですよね。代わりに家事代行なら時間単位で依頼することもできるし、月2回や週1回など、定期契約で割安に利用することも可能です。
しかしながら情シスに関しては、住み込みに相当する常駐サービスしか、今まではありませんでした。これでは週1回掃除を頼みたいだけなのに、住み込みの家政婦を雇わなければならないようなものですね。こうなると、とてもじゃないが払えない、コスパが悪いから、今のままなんとか頑張るしかないとなってしまうわけです。
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ITアウトソーシングの選択肢がひろがったということは、情シス≒主婦(夫)業の問題にどのような変化をもたらすのでしょう。次回、アウトソーシングは本当に裕福な企業や家庭だけの贅沢品なのか、最後にじっくり考えてみましょう!

【コラム:情シスはつらいよ⁈③】アウトソーシングは今も贅沢品なのか

机に置かれたお金と電卓とクエスチョンマークが書かれた積み木
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